貴重な歴史的遺産―「世界最古の家具」とは?

世界最古の家具を目の当たりにすると、そのデザインの高さに驚かされるでしょう。当時は今のように発達した技術が使われていなかったことを考えると、どのようにしてこのようなクオリティの高い家具が作られたのか、ほとんどの人が唖然としてしまいます。「古いものは代え難い宝」ということわざが消えないのは、きっとそのためでしょう。では早速、世界最古の家具を紹介していきます。

古代エジプトのダイニングテーブル

先史時代からの長い歴史を誇るエジプトは、乾燥した気候であるため、家具を作るための木材が乏しいそうです。そのため、古代エジプトでは、木製の家具は王や権力者のみが使用する高級品でありました。幸いなことに、2,000年以上前の痕跡が残ったテーブルが数多く現存しています。というのも、これらのテーブルは、ゴルディオンの家具と同様に、偉人の墓の中から発見されるため、長年にわたり破壊されることはなかったそうです。

ウェストミンスター寺院のドア

ウェストミンスター寺院の玄関にあるドアは、世界最古の家具のひとつだといわれており、木製でありながら当時のまま完ぺきに残っています。研究によると、950年以上使われているドアだそうです。前面には皮を剥いだ人間の皮膚片がくっついているといわれていましたが、牛の皮片であることが判明しています。

聖アウグスティヌスの椅子

中世ヨーロッパ時代に作られた聖アウグスティヌスの椅子もまた、世界最古の家具のひとつです。現存する最古の椅子でもあり、歴史的には13世紀にさかのぼります。この椅子が長い間存在できた要因のひとつは、王政と関係があるからだとされています。現在ではもう使用されていませんが、職人の間では、長く使える家具を作る技の模範だと讃えられているそうです。また、この椅子のほとんどの箇所には精巧な細工が施されており、その製作技術には目を見張るものがあります。製造にあたって多大な労力を費やしたことがうかがえます。

400年前のベッド

バークレー家が15代にわたって使い続けてきた400年前のベッドもまた、世界最古の家具のひとつです。その強度と優雅さが失われることはなく、現在にまで至っています。1608年以来ずっと、グロスタシャーのバークレー城の敷地内に保存されています。

英国にあるこのベッドは、16世紀に優れた職人技と無垢材で作られたと考えられています。歴史家によると、このベッドに描かれた王家の紋章はスチュアート王朝時代のものだそうです。

さらに、このベッドの台座には、男性像と女性像が描かれています。これらの人物は、ヘンリー・バークレーとして知られる第7代バークレー男爵と、彼の2番目の妻ジェーンを描写しているといわれています。400年の歴史を持つこのベッドは、職人技が光る、耐久性に優れた英国製家具なのです。

ダゴベール王の椅子

ルーヴル美術館に収蔵されている世界最古の椅子のひとつ。一部欠落がある上に、製造年代が不明であったことから、その存在をめぐって大きな議論を呼びました。協議の結果、製造年代はメロヴィング朝時代初期のものと特定され、今では、現存する世界最古の座椅子のひとつとして考えられています。